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遺言書がないと相続はどうなるか

2019.05.09

家族にまつわるコラム

遺言書がないと相続はどうなるか

財産のある人が遺言書をのこさない場合、原則として、法律に定められた「相続分」というものに従って財産が分配されることになります。

たとえば、配偶者と2人の子供がいた場合、相続では、妻に2分の1、子供に4分の1ずつ、財産が分配されることになります。このように、法律に定められたとおりに分配される割合のことを、法定相続分といいます。

遺言書をのこさない場合は、原則として法定相続分による相続となり、機械的に財産が分配されます。

また、この例外として、相続が発生してから、相続人の間で、協議をして、合意に達すれば、法定相続分以外の分配方法で遺産が分割されることになります。この協議のことを「遺産分割協議」といいます。ただ、遺産分割協議は、相続人全員の合意がないと成立しませんので、相続人のうち誰か一人でも合意しない場合は、できません(この場合に、何とか合意に達することを目指して、家庭裁判所に遺産分割調停を提起することがあります。)。また、相続人のうち誰か一人が、痴呆症などの理由で、法律上の判断において自己の行為の結果を判断することができる能力(意思能力)を欠いている場合は、遺産分割協議の前に、成年後見の申立て等が必要になることがあり得ます。

そもそも、法定相続分による相続でも、遺産分割協議による相続でも、亡くなった方(被相続人)の意向は、反映されません。

面倒を見てくれた子供に多めに財産を与えたいとか、長年経営してきた会社の株を次の経営者となる子供に与えたいとか、前の配偶者との間の子供にはあまり財産をあげたくないといった意向は、遺言書がなければ実現しません。

遺言書がないと、相続において、あなたの意向は、反映されないことになります。遺産の配分に、あなたの意向をのこしておきたい場合は、遺言書を作成されるとよいでしょう。

また、遺言書がない場合に、相続人同士の間や、相続人と相続人ではない者との間で、争いが起きやすくなるケースがあります。

遺言書がないと争いが起きやすくなるケースの典型例は、「内縁の配偶者がいる場合」「既に死亡した子の配偶者に世話をしてもらっている場合」「相続人資格者に行方不明者がいる場合」「家業を継ぐ子供に事業用財産を継がせたい場合」「先の配偶者との間に子供がいるが、現在は別の配偶者がいる場合」「離婚状態にある別居中の配偶者がいる場合」などです。

これらのケースに当てはまる方は、のこされる家族や大事な人のためにも、遺言書を作成することを強くお薦めします。

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